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楠本 美喜子

女児2人の母、心をほぐして緩める助産師

資格

助産師 / 看護師 / ライフエネルギーコーチ

出身地

和歌山県海南市

経歴・職歴

日精看護専門学校卒
国立大阪病院付属助産師科卒
日生病院勤務後結婚を機に退職
大竹産婦人科勤務後第一子出産後退職
バースハーモニー勤務
横浜市母子訪問指導員

好きなもの

野球観戦

新しい命が産まれることをお母さんと赤ちゃんに寄り添ってお手伝いします。

助産師になったきっかけを教えてください。

看護学校の3年生の時、実家の祖父の介護が必要なため看護学校卒業したら実家に帰ることにしていたのですが、産婦人科実習の直前に亡くなり、人の死というものを経験した後で、人が生まれる現場に立ち会うことになりました。
赤ちゃんが生まれる瞬間に、立ち会った皆が、命にすごく集中して、全員で応援してサポートする姿を見て、私も命が産まれるお手伝いをしたいと思いました。
もし祖父がそのタイミングに亡くなってなかったら、そのまま看護師になっていました。祖父が生まれることを手伝う世界があるんだと教えてくれた気がします。

バースハーモニーと出会った当時の話を聞かせてください。

大阪に住んでいたころ、自然育児の仲間が純子先生の雑誌の記事を紹介してくれて知っていて、主人の転勤で横浜に来ることになったときに、3人目妊娠したらバースハーモニーで産みたいと思って近くに引っ越してきました。
そして2006年ごろ、北川美智子さんのマクロビオティックお料理教室に通っていて、その方が純子先生を紹介してくれました。純子先生に初めてお会いしたとき、助産師を辞めて8年間専業主婦をしていたので、自分が助産師として紹介されることをとても遠慮していました。
当時の私は今と全然違って、アトピーも酷いし、子育ても大変すぎて自己否定もひどく、誰も見ないでほしいという状態でした。後から純子先生に聞きましたが「この暗い人、なに?」みたいに思われたようです(笑)
当時は本当に人生真っ暗って感じでした。純子先生とのご縁で、バースハーモニーで働き始めてからも、最初は何も分からず、うまくいかず、とりあえず一個づつできることからやればいいよ。と純子先生に言われたのがスタートです(笑)

バースハーモニーで働く中で、心がけていることはありますか?

妊婦さんと赤ちゃんにとって一番良い形でお産できるように、寄り添って、自分らしいお産ができるようにサポートすることを心がけています。

バースハーモニーで働き始めて、妊婦検診、足裏のマッサージ、頭蓋仙骨療法、マクロビオティック、自然療法、ヒーリング、赤ちゃんとの対話など全部学びました。

しかし、そうやって妊娠期からのケアにすごく頑張っていても、お産が進まない時がありました。
絶対に自然じゃなきゃいけないのではなく、やっぱり必要に応じて病院での医療も必要です。
自然な形で生まれなかったらダメなわけでもないですし、赤ちゃんの生まれ方は赤ちゃんそれぞれであって、その子がその子らしく、お母さんがお母さんらしく、自分らしい姿でお産できることが一番大切ではないかと思います。
お母さんが、自分らしくいられると、子供も自分らしくそのまま受け入れられるじゃないですか。なので、自分らしいお産をサポートすることを心がけています。

楠本さんも、うまくいかない時期があってそれを乗り越えてきたからこそ、心からサポートができるんですよね。

そうですね。結婚前は病院で助産師として働いていましたが、その後の私は、妊娠・出産・子育て全て思うようにいかず、しかもアトピー性皮膚炎もひどくなり、とても調子が悪かったです。初めての子育てで、どうすればいいのか分からなくて、自然療法や自然育児もいっぱい試してみたけど、当時は全くうまくいきませんでした。
我慢しないといけない、頑張らないといけないと思うのは、小さい頃の経験だったり、生きていく中で身についたことで影響されているものだったりします。
頑張ったからこそ達成できたこともいっぱいあるから、何もかも我慢しない、頑張らないのがいいわけではなく、今まで頑張ってきた自分を認めつつ、もう少し力を緩めて体や心を楽にすることで、お産もスムーズになるし、その後の子育てや人生も上手くいくと思います。

昔は、自然分娩にこだわっていて、そうやって無事に生まれたら、その後の子育てもすごくいいんだろうなって思いこんでたんです。でもその考え方にこだわっていたら、子育てで苦労したりもするんですよね。
私が正にそれで、すごくこだわっていたからこそ、なんでもちゃんと育てなければいけないという感じだったのでうまくいかなかったのです。
子どもも自分自身も、もっと自由にさせてあげればよかったです。
自然にスムーズに産んでも、産後うつになってしまったり、子育てですごく悩む人もいるし、自然分娩じゃないから子どもを愛することができないもないです。

こだわってもいいけれど、こだわりすぎてしまうと、無意識に頑張りすぎてしまって自分自身がキツいですよね。

私は子育てで頑張り過ぎていてずっと大変でした。
でも上の子が中学生の頃、「もうこの子は言う通りにならないんだ」とやっと思えて、自分がコントロールすることを手放した瞬間から、子育てがもの凄く楽になりました。今思うともっと早くから手放すべきでしたね。

やり切って手放す。バースハーモニーで働くのも一回やり切って、2年間辞めていました。

手放すためにはどうしましたか?

色々メンタルヒーリングを習ううちに、自分がコントロールしようとすることって思い通りにならないんだと気づきました。
アトピーで食事や自然療法を色々頑張って試していたけど、もう治らなくていいやと手放したら治るとか、やり切ってやっと手放せることっていっぱいあります。
だから、バースハーモニーで働くのも一回やり切って、2年間辞めていました。
その休んだ2年の時期に今までやってなかったやりたいことや好きなことをやったり、好きなところへ行ったりして過ごしました。
自分基準で我慢を100%辞めても、他人の目からみると機嫌がいいように見えるだけで、3%ぐらいしか変わってないように見えます。
人が意識できる約3%程度が「顕在意識」の部分であって、3%のところを意識して我慢して生きていても、残りの97%は「潜在意識」で、無意識に動いているので、他人からみると我慢しているようにみえないけど、自分はすごく我慢していたり、すごく頑張っているケースはたくさんあるんです。
だから勇気を出して手放しても大丈夫ですよ。

2年間休んでいたんですね!休もうと思ったきっかけはなんですか?

身体からの声で休みたいという言葉しか出なかったんです。
それまで24時間お産にいつ呼ばれても直ぐに行きますと、赤ちゃんが生まれることに時間を合わせて働いていました。
純子先生に「少し休ませてください。」と相談したら「休むだけだと休み切れないから、一回辞めた方がいいよ。」と言われました。
その時は、とてもショックで、私にとって辞めることは、収入がなくなって、今まで積み上げてきた11年分の経験を全て捨てて、今まで必死にやってきたことを手放すことを意味していました。
別の病院で働く気にもなれず、辞めるとこれから何もできなくなると感じて、すごく辛かったです。

その時に、ライフエネルギーコーチング(LEC)を学びました。LECを通して、来てくれている人にセッションを通して話していくうちに、自分も癒されて元気になってきました。
今もそうなんですが、妊婦検診で妊婦さんに接していると、結局自分にもその言葉をかけていくことになります。
最近は潜在意識のことを勉強しているんですけど、それも人に伝えながら、自分が癒されていくし、視野も広がって、見方は一つではなく、色々な角度から見たら色々な解釈ができると気づきました。
お産も同じで、自然なお産じゃなきゃいけないじゃなくて、色んな形のお産がある中で、その形になったことがベストだと思います。
お産は一つの通過点だから、その通過点の中で自分と向き合いながら、お産して、その後子育てで向き合って、旦那さんや周りの人々と関わりながらどんどん経験して変化して成長して自分が深まっていくのが人生だと思います。

ライフエネルギーコーチング(LEC)や潜在意識のことを学んでどう変わりましたか?

一つのことを深く色々な角度から見れるようになったのは、凄く良かったと思っています。
こうしなきゃ、こうじゃなきゃいけないという風にしか思えなかったころは、深く見れてなかったんです。まだまだ世の中には色んな見方があるので、どんどん深めたいと思っています。
だって、面白いじゃないですか。1つじゃなく一人一人に世界があってそれぞれが唯一無二の存在なんだから。

面白いですね!楠本さんがアトピーだったのも、原因は自分の内側にもあったんですよね。

そうなんですよ。自分がアトピーの時は、アトピーの原因を探しに行ってました。食事なのか、使っている化粧品なのか、服の素材なのか、化学物質なのか、水なのか、空気なのか、ずっと答えを探していました。

アトピーが良くなった今、「これじゃダメだ」、「こうしなきゃいけないのになんでできないんだ」と自分に凄く厳しかったせいで、色んなことで我慢をしていて溜まっていたものを、皮膚が出してくれていたことで、私を守ってくれてたと分かりました。
今は、私の肌で色々なことが分かる敏感さは、すごく大事にしています。

自分の中に意識を向けるのはとても大切ですよね。どうやって楠本さんは自分と対話していますか?

「潜在意識3.0」の著者藤堂ヒロミさんの講座で、潜在意識とつながっている自分の臓器の声を聞くということを学んでいます。私は臓器の声を聞くと、もっと楽しんでほしいとか、もっと好きなことをやって良いみたいな声が多くて、身体は私をずっと応援してくれていることが分かりました。
頭(脳)は厳しいんだけど、身体は何も文句言わずずっと働いて、生きていくように動かしてくれていて、もっと自由に色んなところへ行けるのに、頭がやっちゃいけない、行っちゃいけないと思いこんでいただけなんだと思います。

例えば私の場合は「私はアトピーだ」という信念を自分の中で持っていて、そう思っているからこそ、そういう現象を見つけるんですよね。
でも、そうじゃなくて、体は私に今教えてくれているんです。そう思うと、身体をもっと信頼して、安心して心地いいを選んでいい。
妊婦さんたちも自分の身体との対話をやっていると、子宮の中にいる赤ちゃんとの対話もうまくできると思います。

意識が外側にむいちゃうと、できてないとか、持っていないとか、こうしなきゃいけないとか、どう思われるかの「ない」ばっかりになってしまいます。
内側に向くと、全部「ある」に変わっていきます。
「自分の中に既に答えがある」「自分の感覚で分かっている」など「ある」ことに向けるようになると、心もすごく安定して安心の中で生きていけます。

なんとなくそう思うことって頭で条件とか状況を考えて「いや、それは違うでしょう」みたいに否定しがちだけど、本当はそれが本音だったりしますよね。
病気とか不調は、そういう身体の声を無視して動いていて、ストップが掛かっていて身体が教えてくれてる感じです。
2年前お仕事を辞めた時も、身体が私を止めてくれて、自分の中で大事なことに気づけたので、今は身体の感覚を信頼して、感覚をさらに深めているところです。

休憩が人生において凄く大きい転換期になりました。

休む前の考え方から具体的にどうやって自分を変えていったんですか?

休む前は自分を凄く変えたいと思っていて、助産師としての自分を頑張って作っていたんだけど、気づいたら横には本来の自分が倒れていました。
助産師としての自分を手放してしまったら、倒れている自分しか残らないことが悲しくて辛かったです。

でもそれからは「じゃあ、どうする?どうしたい?」と本来の自分はどう思っているのかを自己対話をして、建て直していくことにしました。
それで手放したいことを全部書き出しました。その書いたものの中では、朝起きたくないとか、ご飯も作りたくないとか、本当にこれぐらいまでやらないともう全然生きる意味ってないんじゃなかろうかと思うものもたくさんありました。
けど、やらなくていいというものを全部書き出すことで、身体も心も緩んで元気に戻れたし、良く寝れるようになって朝も起きれて、お腹も空くからご飯も作れるようになりました(笑)
ご飯も好きな食べたいものを作ろうと思ってて作っていたら、全然今までのメニューと変わらないものだったりして、結局身体の感覚でやっていいんだよと思いました。

一回辞めたとき、バースハーモニー繋がりの友達が多かったから、お友達もいなくなるんだろうなと思っていました。みんなとてもあったかくて優しい人達だったのに(笑)
でも私は違う自分になっちゃうから、もう会わなくなっちゃうだろうなと思っていたんです。実は皆が本来の自分もちゃんと分かってくれてたのに、私1人が仮の自分じゃないといけないと思い込んでしまっていただけで。
でも仮の自分はやめて、本来の自分を出していったら、周りの皆も本来の自分を出してくれるようになってより仲良くなりました。ほんとに良かったです。

本当に良かったですね!本来の自分に戻っていくと、どう変わりましたか?

自分ができないと思っていた3%の部分だけに意識をおくことを辞めれば辞めるほど、もっと仕事ができるようになりました。ちゃんとしなきゃと思わない方が仕事もうまくいくし、頑張らない方が皆が助けてくれるし、我慢しない方が皆が分かってくれるし、実際辞める時は勇気は要るけど、やってみたらすごく楽しくて面白いことばかりになりました。

仕事を辞めて、一番最初にやりたかったことが、バースハーモニーで以前まで働いた助産師の湯本さんのいる沖縄の久米島に行くことでした。それも、1人旅したこともないし、何十年も飛行機に乗った事もなかったので、すごく勇気が必要でした。
思い切って行って、やっと着いた久米島の自然は全部受け入れて、許して癒して解放してくれて生まれ変わって帰って来ることができました。
これから湯本さんと提携して、久米島リトリートツアーをやりたいと思っています。

どんどん意欲的になっていって、楽しく人生を送れるようになって素晴らしいですね。

今まで色々ありましたが、結局やってることは興味があって自然にやっていること。
体やメンタルの調子が悪いことで、ずっと考え方を変えるための心の勉強をしてきました。
思考の表面で変えてもうまくいかないし対して変わらないけど、深い潜在意識の信念に気づけて調整できると自分に戻れてとても生きやすくなります。
無意識の信念で守られてるとこもあるし、それで達成したこともある。それはもう達成できたから、そうじゃなくてもいいかもって緩めていけると、どんどん自分らしく生きていけると思います。

私が大切にしたいこと、それはみんなが本来の自分を取り戻して身体の感覚を大切に過ごしてもらうことです。

これからママになる方々へ伝えたいことはありますか?

本来の自分に自分が寄り添う、自分と仲良くすることです。どんなことが起きても、一番身近な自分が自分と仲良くて、信頼できればどんなことがあっても大丈夫だし、乗り越えていける。

妊婦さんにはいつも気持ちよく、こっちの方が好きだとか、こっちの方が心地いいなとか、呼吸がしやすくて楽とか、そういう体の感覚を大事に過ごしてもらえたらすごい嬉しい。

本来の自分を取り戻してほしい。バースハーモニーはそれを許してくれる場所でいたいです。
本音を言えて、癒されて許される、やりたいことに対応できる場所なので、自分の感覚をどんどん開いて教えてほしいです。

ここで産まないにしても妊娠中とかも来てもらえてほっと自分を解放して過ごしてもらえたらいいなと思っています。
産後もうちで産んだ人も、違うところで産んだ人もみんなケアを受けに来てもらって、お母さん達が充電して自分らしく戻れるようにと願ってサポートしています。

私自身が自分を取り戻せたので、どうやったら取り戻せるかは知っています。みんなそれぞれ引っかかってるところを話して、ほぐして緩めていけると思います。

何か足りないから頑張らなきゃとかやらなきゃいけないっていうマイナススタートで外側に探しに行くんじゃなく、自分にあるものから自分の人生を創造していける、好奇心で進んでいく、それはとても大事でとても楽しくて面白いですよ。

誰かがこう言ったからこうするじゃなく、私はこうしたいからこうする時代になってくると思うから。お産も自分自身のものなので、自分を取り戻して、自分の心地よさで妊娠中を過ごして、いっぱい自分と赤ちゃんを満たしてお産を迎えてもらいたいです。

こうじゃなきゃいけないじゃなくて、自分の体や自分の内側と向き合って、でもそれを楽しんで、苦しいことじゃなく、楽になっていけるように。苦しいことがあるなら少しでも癒され楽に軽くなれるように、元々軽い人はもっと好きに楽しくなっていけるように。バースハーモニーに来てもらってそうなれる場所だったらとても嬉しいですし、そういう人たちとどんどんつながって広がっていきたいと思っています。