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kazz

バースハーモニーを影で支える支配人

出身地

東京都

好きなもの

バイク、写真、稲作

ほとんどのクラスの先生は、自分がもう「この人だ!」と思う人をナンパして、今のバースハーモニーの要素を色々引っ張ってきたっていう感覚です。

バースハーモニーでは何をされていますか?

生き物がかりです、猫と犬を飼っているので。あ、真面目に答えないと(笑)

私の助産院での担当は主に「物販」と「クラスの運営」です。
物販に関しては1階の商品棚で、健康食品や玄米発酵食品、天然系の洗剤・化粧品など、自然なお産をサポートするために厳選した商品を取り扱っています。株式会社オークスと言う形で経理上、助産院とは別になっています。

クラスについては、予約受付から当日の準備・運営を一任されています。
開催クラスも開業当時から様々な変遷を経て今の形になっていて、妊娠・出産・産後を通じてみなさんに是非学んでいただきたいことを網羅しています。
どのクラスもとてもオススメですよ。

kazzさんがきっかけで始まったクラスも多いんですよね?

そうですね。
例えば、自分で身体を整えるエクササイズのクラスの「ReMOVE!stretch」。
私自身、建築の仕事してるときに、墜落事故でもう全身打撲みたいになったことがありました。体が歪んで、そこからいろいろ不調が出始め、腰も悪くなって、何回も何回もギックリやってて。最後にギックリやったときにもう全然治らなくて。半年ぐらい続いてしまい、「これもう直らないかも」っていうときがあったんですよ。
当時は様々な整体に通っていたのですが、これはもう整体では治らないと思ったので、「自分で自分を治す方法がどこかにあるはずだ!」という強い思いがわき上がってきて。
それで探し始めたところ、行き着いたエクササイズがReMOVE!stretchです。
荒さん(ReMOVE!stretchのコアスタッフ)に出会って、エクササイズを始めるとみるみる体調が良くなって、今ではすっかり腰痛も無くなり、ほぼ完治したといえる状態です。
趣味のバイクや稲作にも復帰でき、とても感謝しています。
このエクササイズを妊婦さん向けにアレンジしていただいたのが、ReMOVE!stretchのクラスになります。
デリケートな体調管理が必要な妊婦さんにもとてもオススメです。また妊婦さんのご主人が興味を持たれて、ReMOVE!stretchを始める方も多いです。
クラスがきっかけでスタッフ(教える立場)になった方が何と7人もいますので、それだけみなさん効果を感じていらっしゃるのだと思います。

四男を産んだ片桐助産院で「呼吸クラス」があったことをきっかけに「呼吸クラス」も加わりました。
純子さんが妊娠中に夫婦でクラスに参加して、クラスを通じて呼吸の持つ意味や感情との深いつながりに興味を持ったので、クラス終了後に先生にお願いして個人セッションを受けました。
そのセッションの中で様々な体験をして、自分自身を見直したり、鬱屈した感情が解放されたり、また夫婦関係も改善されたりしました。
特に私は「泣くこと」ができるようになりました。それまでは絶対に泣かない人間だったんです。ブリージングの時もそうだし、本当に悔しいと思ったときにガーッて泣けるようになりましたね。
そうした経験から、前田先生にお願いして、バースハーモニーでもクラスとして開催するようになりました。
このクラスも参加した多くの方から、「本当に良かった!」「お産が楽しみになった」という声を頂いています。

「発達クラス」も自分が言い出しっぺです。マッキー先生がやってるのを知ってたので、先生に来てもらって発達クラスをやろうって提案して始まりました。
マッキー先生が元々、頭蓋仙骨療法の先生だったので、私も先生の家に遊びに行ったりしてるうちに、先生が発達のこともすごく詳しいということを知って、クラスにした方がいいんじゃないと伝えたわけですね。
当時、発達に困ってる発達障害の子の話をちらほら聞くようになり始めたので。そこはバースハーモニーとして、ちゃんと指導してあげないといけないと思いました。
やっぱり生まれただけじゃダメだと気づきましたね。
運動の面と赤ちゃんの体も整えるといった両面でマッキー先生が見てくれていたことを、今は純子さんが「発達くらぶ」として引き継いでやっています。

なので、ほとんどのクラスの先生は、自分がもう「この人だ!」と思う人をナンパして、今のバースハーモニーの要素を色々引っ張ってきたっていう感覚です。

純子さんに直接文句言えるのは自分しかいないので、言うべきことは自分が言うしかなかったりしますね。だから「支配人」かもですね。

純子先生の夫として、kazzさんにしかできない仕事はありますか?

私にしかできない仕事は、純子さんを身近でサポートすることでしょうか。
やっぱり「バースハーモニー」=「純子さん」なので、純子さんが気持ちよく仕事が出来るようにする役ですかね。純子さんが調子よく回ってることが一番だから。
命を扱う仕事は24時間体制で、その責任も大きく、大きなストレスを受けることもままありますので、家事を含めてできる限りのことはしようと思っています。
助産院の仕事は多岐にわたっていて、健診・出産介助は助産師しか出来ませんが、それ以外のことは全部やるつもりではいます。お陰で最近は料理が趣味になりました(笑)

あとは、純子さんに直接文句言えるのは自分しかいないので、言うべきことは自分が言うしかなかったりしますね。だから「支配人」かもですね。純子さんに何か言うって、やっぱり難しいことなので、それは自分の役目かもしれません。

いつだったか、「開業助産師の夫」という立場の話になったとき、絶対Mじゃないとできないよねって盛り上がりました。計画的な休みも取れないし、その場その場の状況に対応していかないといけないので、それに順応して楽しめる人じゃないと出来ないのかもしれませんね(笑)

天然住宅の助産院にしたのはどうしてですか?

バースハーモニーは賃貸マンションの1室から始まりました。
当初から自然の中で天然住宅の助産院を建てたいという思いはあって、時間を作っては田舎に物件探しに行っていました。純子さんの実家のある四国とか、自然派の人が多く移住する八ヶ岳とか、知り合いを訪ねて遠く沖縄・石垣島まで物件探しに行きました。それでも提携病院の問題などもあり、なかなか実現はしなかったんですね。

そんな中、消防法が改正されたことが理由でマンション内での経営が難しくなり、とりあえず近くで一軒家を探して移転をしないといけないという状態になり、不動産屋さんから紹介された物件が今の天然住宅の家だったんです。
まさか家から10分の所に天然住宅で建てられた施設があるなんて思ってもいませんでした。
もともと整体院として建った施設だったので、なんと待合室もあり、間取りも助産院にうってつけの形をしていたのです。まさに奇跡的な出会いですね。
さらには施工を手がけた工務店さんが、丁度その時期に妊婦さんとして通っていた方のご主人様が勤務する会社だったので、リフォームもその方にしていただきました。
とにかく不思議なご縁が重なっての移転でしたね。

天然住宅の居心地は実際どうですか?

私自身が化学物質過敏症ということもあって、天然住宅の助産院はとても快適です。
妊婦さんの中にも化学物質過敏症や、電磁波過敏症の方もいらっしゃったりしますが、健診、出産、入院生活も問題なく楽しく過ごしていただいています。

命と向き合う場所って絶対必要ですし、自然誕生の助産院のような場所は残しておかないといけないと思います。

バースハーモニーで叶えたい夢はなんですか?

今後のバースハーモニーの夢としては、やはり最初に描いたような豊かな自然の中でお産が出来ればそれが理想かもしれません。もう少し「農業」と連携できる助産院になりたいと思います。
自然なお産って、「食」を中心にやってるものですよね。食の基って、やっぱり作物、つまり自然な食べ物とどうしても繋がっていくので、そことも循環させられたらいいなと思います。
今もバースハーモニーでは田んぼや小さい畑もやったりしていますが、その中で自然の循環を感じたり、何より目の前の妊婦さん一人一人に丁寧に向き合いながら、やるべきことをコツコツとやっていれば、自ずと自然な方へ導かれて行くんじゃないかなと思っています。

自然誕生への考え方を聞かせてください。

そもそも「命」って、どこからやって来るのかわからないじゃないですか。誰にもわかっていないし、多分、科学がどれだけ進歩しても人間が勝手に命を作り出すことはできないですよね。宇宙の神秘と同じように究極の謎だと思います、命の誕生って。
自然誕生はそこに向き合っていく大変さでもあり、また面白さもあると思います。
何が正解かもわからないし、多分答えは出ないんだろうけど、そこに真摯に向き合い続けるっていう姿勢や意識は持っていたいと思いますね。

今の時代は医療が大変に進歩して、病院で様々な処置を受けながら出産することが当たり前になりましたが、バースハーモニーにいらっしゃる方々は、何らかのそういうものを感じるから、来てくれるのかなと思うんです。
あと、バースハーモニーに来てから、そういうふうに意識が変わる方もたくさんいらっしゃいますよね。
だから、今の時代は医療が進んできてみんなが病院で産むようになってきてるけど、命と向き合う場所って絶対必要ですし、自然誕生の助産院のような場所は残しておかないといけないと思います。

なんだか農業の自然栽培と似ていますね。やっぱり自然に生きようとすると、何をするにも自然に寄り添うようになっていくのでしょうか。

そういう意味では、農業と似ているかもしれませんね。
農業も近代化が進んだお陰で、沢山の人の食をまかなえるようになっています。
今、急激に日本中が自然農法や自然栽培になったら、流通も何も立ち行かなくなくなりますよね。
お産も多分そうだと思いますね。みんなが自然なお産をやろうと思っても、もう今は無理な場面まできちゃっていると思います。
それでもいつか、100年後か、200年後かは分からないですけど、そっちに向かっていかなきゃいけないんだろうなと思います。
そのためには小さな施設ではありますが、自然誕生というものがあるということを繋ぎながら、次の時代に残していく意味は大きいと思っています。

自分が産んだような疑似体験をしてしまったら、生まれてきた赤ちゃんが可愛くてたまらなかったんです。

これからパパになる方へのメッセージをください。

昔は、男の人があんまり子育てしないという時代が長かったと思いますけど、今は男の人も一緒に子育てする時代じゃないですか。
子育ては人生で本当に楽しいことなので、自分主体でできるといいと思いますね。
そのためには、やっぱりお産に一緒に立ち会うことをオススメします。
妊娠中からずっと妻とお腹の赤ちゃんに寄り添って、妊婦検診も一緒に通ったり、クラスと勉強会も一緒に受けて、最後のお産まで立ち会うと、本当に「自分が産んだ気」になるんです。

自分自身も最初の子供が生まれるときまで、パパになる実感が全然なかったんです。お腹が大きくなってきても、全然子供が生まれる実感がなかったです。
初めて実感が湧いたのが、本当に頭が出た瞬間。子供の頭が出た瞬間にやっと「あ、自分は親になるんだ」という感情が湧いた感じです。
水泳に例えたら、いきなり壁に当たってターンしたような感じです。頭が出た瞬間パッ!って壁をタッチして、人生折り返しみたいな感じがしたんですよね。

ところが4人目はもう段取りがわかっていますから、妊娠初期から一緒に準備をしたり相談したり、健診に付き添ったり、最後は自分で赤ん坊を取り上げるところまでしました。
4人目を産んだ時の話ですが、お産に向かって送り迎えだったり、自分が四男を取り上げないといけないという緊張がすごくありました。
そんな中、産後の出血がすごく多くて、もう純子さんがそのまま死んでしまうかもしれないという状況でした。
出血が多すぎて、顔が死にそうな人の顔だったから、死ぬなら意識があるうちに何か言わなきゃと思って、助産師さんに「死にますか?」と聞きました。
だって、誰もがバタバタし始めて、喋らなくなっちゃったから怖かったですね。
死ぬなら何か言わなきゃだけど何を言えばいいのか分からないから、「どうしよう、どうしよう」ってなって慌ててました。
ドラマだと、今までありがとうって言えるのかなと、頭の中でガーってなっていたんですよね。そしたら、助産師が「(血を)止めるんです!」とすごい勢いで言ってて、何とか蘇生しました。
そしたら究極の緊張が解けて、気づいたら自分も一緒に倒れて寝込んじゃったんです(笑)
なので、本当に自分が産んだような感覚になったわけです。
すっかり自分が産んだような疑似体験をしてしまったら、生まれてきた赤ちゃんが可愛くてたまらなかったんです。
泣いても何をしても大変と思わずに、子育てが楽しくてしょうがなかったんですね。道で転んでだら泣きながら「おとーさーん!」て、母親じゃなくて自分の方に走って来たりしたときにはちょっと優越感も感じたりして。

そんなわけで、妊娠出産からその後も長〜く続つ子育てを楽しくやっていくには、お産の前からパパも積極的にかかわっていくということがオススメです。
本当に自分が産んだ気になると、赤ちゃんがめちゃめちゃ可愛いんです。そんな体験を皆さんにも是非味わってほしいので、立ち合い出産も本当にオススメします。